コラム
2025.12.04
「何かを得ると何かを失う」5歳児を育てながら転職成功したシングルマザーが語る、やりがいと子育ての優先順位の決め方
こんにちは!ペアチル代表理事の南です。
「転職したいけど、子どもがいると条件が厳しくて…」
「やりがいと子育て、どっちを優先すればいいの?」
そんな悩みを抱えているひとり親の方は多いのではないでしょうか。
今回は、5歳のお子さんを育てながら転職を成功させた30代後半のシングルマザー・Rさんにお話を伺いました。
大学で情報学を学んだ後、製薬会社のMR(医薬情報担当者)からキャリアをスタートし、歯科助手、大学事務、塾講師兼家庭教師、精神科病院のソーシャルワーカー、リハビリ病院、特別養護老人ホームと、医療・福祉・教育の幅広い分野で経験を積んできたRさん。
「諦めなかった」Rさんが見つけた、自分なりの優先順位の決め方や、「100点満点の選択肢はない」という生き方について語っていただきます。
【この記事でわかること】
- 転職活動で「やりがい」と「子育て」どちらを優先するか悩んだときの考え方
- 「完璧を求めない」という価値観が生まれた背景
- 支援プログラムを「使いこなす」姿勢の大切さ
- 子どもとの関係性の変化と、親子で乗り越えた日々
プロフィール
Rさん(30代後半・シングルマザー)
5歳のお子さんと2人暮らし。大学では情報学を専攻し、製薬会社のMRからキャリアをスタート。その後、精神保健福祉士・社会福祉士の国家資格を取得し、精神科病院やリハビリ病院でソーシャルワーカーとして従事。医療・福祉・教育の幅広い分野で経験を積む。転職支援プログラムを活用し、2025年秋に転職を成功させる。小学4年生からほぼ毎日1ページ日記を書き続けるなど、言語化が得意。「夢は盛りだくさん」と語る前向きな姿勢が印象的。
目次
転職後1ヶ月、両立のリアルな現実
転職活動を乗り越えて新しい職場に入ったRさん。しかし、両立の課題はそこで終わりではありませんでした。まずは、転職後のリアルな日々についてお聞きしました。
子どもの体調不良で欠勤が重なる日々
――新しい職場に入って1ヶ月ほど経ったとのことですが、今はどんな状況ですか?
職場の環境も仕事内容も楽しいし、やりがいがあります。ただ、やっぱり子どもや私が調子を崩しちゃって休んだりすることがちょこちょこあって。
今は半年間の契約期間中なので、有休もないんですよね。欠勤するとやっぱり会社での正社員登用に向けて印象が悪くなるのであまりしたくないんですけど、子どもが熱を出しちゃったとか、お腹が痛くて保育園にいられないとか、そういうことはどうしても起きてしまいます。
先月で5回、今月で2回も欠勤していて。来年の4月までに正社員になれるかどうか、正直ハラハラしています。
自分自身も、なんとか体調を保っているつもりでも、どこか良くなってくると別のところが…みたいな、年寄りみたいなことを言っていますけど(笑)。
最近も目が痛くて真っ赤になってしまって、コンタクトがつけられなくなっちゃって。遅刻や早退もしたくないから1週間眼科にも行けず、家にあった抗菌の目薬でしのいでいます。
職場では有休がもらえるようになれば、1時間単位で有休が取れるので、同僚の方々はほぼ毎週、誰かしらが「体調不良で1時間遅れます」LINEがグループLINEで来ていて、休みやすい良い職場だな~(笑)って思っているのは、職場には内緒です(笑)
理解ある職場だからこそ選んだ
――それでも今の職場を選んだのはなぜですか?
実は、面接の日に子どもが熱を出しちゃって、1回キャンセルしたことがあったんです。「子どもが熱を出してしまったので、今日は行けません」って連絡したら、その会社は日程を再調整してくれて。
それに、同じ会社の中で発達障害のある子どもへの支援事業もやっていたりして、育休や看護休暇、働くママたちのことをある程度わかっているところなのかなって思いました。
上司の方も、子どものことで休んじゃうことに関しては「上の人にも言っておいたので」って言ってくれていて。そういう理解があるところを選んで本当に良かったなと思っています。
忘年会に「子どもを連れてきていい」と言ってもらえた
――職場の雰囲気はいかがですか?
忘年会にも誘っていただいて、「子どもを連れてきていいよ」って言ってくださったんです。そこでまた職場の人たちとコミュニケーションを取れたらいいなって思っています。
私はお酒が好きなのもあるんですけど(笑)、やっぱり飲み会の場ではプライベートの話もいろいろ出ますよね。
そういう場に子ども連れで参加していいって言ってもらえるのは、ひとり親としてはすごくありがたいです。
こないだ別の方と話していた時には、「時短をあえて選ばないで、正社員で働いてらっしゃってすごいですね」って言っていただいたりもしました。
「時短を選ばない」という選択について
――「時短」という選択肢は考えなかったのでしょうか?
時短という選択肢は、私の家庭にはないと思っていますし、私自身も“正社員”で働き続けたいんです。そこは自分の仕事選びでのこだわりでもありました。
うちは子ども一人で、養育費ももらってて、児童扶養手当ももらってて、正直贅沢しない生活なら、時短+楽な副業や好きな副業でも何とかなるんです。
でも、それは「未来の自分や子どもの生活にとって、プラスじゃない」から、私は選ばなかった。スーパーで値札を気にして買い物したくないし、電気代ケチケチして暑いのも寒いのもやだ。子どもに毎回買い物で我慢もさせたくない。たまに私も贅沢もしたいし、させてあげたい(贅沢って言っても、「スタバで美味しいフラペチーノを親子で飲みながらケーキも頼む」とか、「スシローで値段気にせず食べたいもの食べる」とか、そーゆーレベルですが…(笑))。
後は、中学生から急に子どもにお金がかかり始める!とか、大学は奨学金背負わせたくない!とか、自動車免許取得の費用は出してあげて早くに免許取らせてあげたい!とか、自分が親にしてもらって、周りの子に比べて恵まれていたことを、当たり前のように自分の子どもにもさせてあげたい。
自分の老後もお金で子どもに迷惑かけたくないから、厚生年金払い続けたいし、貯金もし続けたいし、今まで仕組みが難しくてできなかったけど、やっとNISAも口座作れて老後の貯蓄もし始めているのを止めたくない。
ともかく私は我儘で欲張りだし、働くこと自体好きだし、それなら正社員一択!って感じで、偉くも凄くもない。稼がないと、私の望みが叶わないから、稼ぐ一択なんです。
ただ、これは私の希望や状況だからこその選択であって、時短を選ぶことが正解のご家庭もあると思います。お子さんの年齢や、家族のサポート状況、経済的な事情など、それぞれ違いますよね。
大事なのは、自分の状況に合った選択をすることだと思っています。
でも、総じて今の職場は理解もあるし、なんとかやっていけそうだなっていう感覚は変わらないですね。動いた結果、本当に良かったと思っています。
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「やりがい」か「子育て」か、私が優先順位を決めた方法
Rさんは転職活動の中で、「やりがい」と「子育て」のどちらを優先するかという大きな葛藤に直面しました。その時、どのように答えを見つけていったのでしょうか。
転職活動で直面した「制約」の壁
――これまでの転職活動と比べて、今回はどんな違いがありましたか?
今まで転職してきた時は結構スムーズにすぐ決まってたんですよ。製薬会社のMRから始まって、歯科助手、大学の事務、精神科病院のソーシャルワーカー…その時は「仕事内容が面白ければいい」みたいな感じで、給料がいくらだろうが、立地がどこだろうが、勤務時間がどうだろうが、休みがどうだろうが、全然気になってなかったんです。
でも、子どもがいるだけで、すっごく条件がいっぱい出てくるんですよ!
送迎の範囲内の勤務時間(仮に1時間残業すること含むとして)とか、送迎時間の影響によって、可能な勤務地の立地も変わる。保育園がやってない日祝は仕事できないし、今は車もないからショートステイに子どもも預けられないし、土曜日は保育園の延長利用できないから、18:00までにお迎えいけないとダメ。給与やキャリアも捨てずに我慢せず済むこととか、ともかくこんなに制約がつくのか!!と思いました。
「私が働ける職場や仕事はあるのだろうか…?」「妥協ってどこまでしないといけないんだろう…」って不安になることもありましたね。
以前は実家で親と同居していて、サポートしてもらいやすかったんですけど、その後同じ区内に引っ越して、少し物理的に距離ができました。
それによって、家庭内での育児サポートは皆無、保育園の送迎程度なら少し手伝ってもらえる、という環境に変わりました。
精神的には、親子2人の生活は気楽です。でも、家事・育児・仕事も全部フルタイムで行うので、結婚していてもワンオペしているお母さんや、シングルマザーで同じように働いている方たちは、その大変さがよく分かるかと思います。
手抜きしまくりたい!時短で楽できることは多少お金かかってもいい!ってことで、お迎え帰りの時間にスーパーで値引きシールの貼られたお弁当で夕飯を済ます日!、お米を研ぐのも面倒だから無洗米にする!など、みなさんすごく日々身を粉にして、いかに仕事から帰った夜に楽をするかについて、日々頑張られていると思います。
頭で考えるのと体感するのは違う
――「やりがい」と「子育て」、どちらを優先するかで悩んだそうですね。
そうなんです。やりがいを求めて子育てをちょっとセーブするか、それとも子育てをメインにしてやりがいをセーブするか。これは始めた就活半ば、2か月くらいまでずっと悩みながら、応募や面接を受けていました。
精神保健福祉士や社会福祉士の資格を活かした専門職を取れば子育てが疎かになるし、事務職を取ればやりがいは疎かになるし…どっちがいいのかなって。
でも、実際に面接を受けていく中で、なんとなく「自分はこっちが好きだな」とか「この条件すごくいいな、だけど…」とか、感じることがあったんですよね。
後は、面接官の方で優しい年配の女性との出会いも大きかったです。
そこは総合病院のソーシャルワーカーだったのですが、面接をしていくうちにミスマッチをお互い感じたのです。私はゆっくりした療養型の病院で働くつもりが、転職エージェントさんのミスで緊急時の対応もある、急性期も含む病院面接で、お互い話しているうちに、求めているものの違いが分かったんです。
そしたらわかってからは、何故か私の転職に役立つアドバイス会みたいな雰囲気になって、偉い方4名のうち、1名の年配の女性が「なんとなくだけど…あなた、精神科の方が向いているわよね。何となくだけどね(笑)」って言ってくれて。その方は相談室長さんだったのですが、大ベテランのオーラーが出つつも、優しい感じがして、そこで自分のやりたいことと、傍目に面接をしている医療現場の方にも、「私ってやっぱり精神科向き(専門職向き)なんだ!」って感じました。
後は、精神科病院での面接や見学は、もう面接を受けてて話していても喜々としたり、見学も懐かしく楽しく感じて、あーやっぱ精神科で働きたいわ~っていう心底思ったものの、そこはその場で仮内定ぐらいな話をされたのに、何故か落ちましたけどね(泣)
自分が本当に一番求めてるものって、頭で考えるのと体感するのとでは違うんです。だから、体感的には、自分の直感だったり感情だったりを優先して決めた方が、長く続くのかなって思いました。
そうじゃないと、また転職を繰り返すことが、何となく先見えしてしまった部分も、就活しながら感じました。
「犠牲を払える範囲」を決める覚悟
――その考え方、すごく実践的ですね。
私の場合はやりがいをすごく重視してたんですけど、給与を重視する人もいれば、お迎えのことを考えて勤務地を重視する人もいますよね。何を重視するかは人それぞれでいいと思うんです。
ただ、重視するものがあった時に、必ず犠牲になるものがある。その犠牲をどこまで払えるかを決めておくことが、やっぱり大事だなと思います。
「ここまでだったら犠牲を払えるから、その範囲で探そう」とか、そういう覚悟を持って臨むことで、迷いが少なくなりました。
求人を見て「やりたい」と思っても諦めたもの
――転職活動中、諦めた求人もありましたか?
求人を見ていて「すごく面白そう、やりたい!」って思うものもたくさんあったんですけど、子どもの制約でできなかった求人もいくつもありました。
でも、子どもが大きくなったら…10年後だと子どもは15歳で、高校受験が終わっていたとしたら、もうすごく自由じゃないですか。
そうなったら例えば夜勤がある仕事をするとか、都内で働くとか、新しいジャンルの仕事に挑戦するとか、色んな仕事の幅が広がるなって。
10年間今の職場で働けば、次の転職の時に「10年間働いてたからすぐには辞めません」って言えるなとか。そういうことを考えると、まだまだ私の中では夢は盛りだくさんです。
「100点満点はない」という生き方
Rさんの話を聞いていて印象的だったのは、「完璧を求めない」という一貫した姿勢でした。この考え方はどのように形成されたのでしょうか。
幼少期の経験が教えてくれたこと
――「何かを得ると何かを失う」という考え方は、いつ頃から持っていたのですか?
私の人生の中で、何かを得ると何かを失うっていう経験がやっぱり多かったんですよね。
小さい頃、ペットを飼っていて、死んでほしくないから神様にお願いするんですけど、ペットは死んじゃうわけですよ。神様は私の願い事を聞いてくれたことは一度もありませんでした。私にとってのペットって、唯一信頼できる家族でした。
友達より何より大事で、泣いていれば寄り添ってくれて、言葉を交わすことはなくても、ただずっと傍にいてくれました。そういう存在を得て、信じる気持ちというものをやっと持てたのに、寿命というものでペットはどうしても私より先に死んでしまう。私がどれだけ「自分の寿命を捧げますから、一緒に生きたいんです!」って願っても、聞き入れてもらえない。
絶望と孤独しかない世界にまた逆戻り。そんなもの、欲しくない。いらない。人生の中でなくて良いものなのに、そういうものを得たことで、私はその感情を語る言葉をたくさん得ましたし、大切な者を失った人に寄り添えることや、「必ずみんないつかは死ぬこと」を学び、刹那の時間を大事にしたり、「今できることを最大限にやっておこう」「自分も相手も、1時間後に死んでしまうことだってあるんだから」「伝えたいことは伝えておかないと、死んだら何も言えない!」とか、ちょっとまたこの話だと脱線しそうなのでこれくらいにしますが(笑)。
ともかく失ったことで、得なくても良い、得なくても生きていける余計なことを、私は得たわけです。
失ったものに嘆くだけで何か得ることあるか?って思いますよね。そこから立ち上がれば別だけど、嘆くだけなのに?って。嘆く中でも、必ず気持ちや言葉を得ているんです。それをしなかった人よりは。何のプラスにもならないって思いますよね?その時はそうでも、いつか大切な人に寄り添える人になれます。痛みが分かるのは、当事者だけ。最後に寄り添えるのは、当事者同士だと、私は思っています。病気でも失恋でも死別でも、何でも。「同じ」っていうだけで、救われる日があるんです。
そういう理不尽な目に小さい頃から遭っていると、「いろんなことはうまくいかないんだ」「望むことがうまくいかないこともあるんだ」「どんなに頑張っても報われないこともあるんだ」って、自然と思うようになりました。
だけど、そこで自分が気付かないだけで得ているものって、良くも悪くもあるんです。必ずあって、それに気づくか気づかないかは、自分とどれだけ見つめ合うかだけです。
日記を書き続け、自室の等身大の鏡に映る自分に話しかけ続け、ともかく自分の気持ちを自分にさらし続けました。それが多分、今の私を創っている一部なんだと思います。
子どもとの関係でも「完璧」を求めない
――お子さんとの関係でも、その考え方は活きていますか?
私自身、子どもとの関係でも、私がママとして100点でもないし、私自身がママになってやっと5年になった身です。
まあそれ以前に、そもそも一人の人間としてもマイナスだと思っています(笑)自己肯定感が本質的に低いのも無くはないですが、自信家なところやポジティブや楽観的な部分もありますよ(笑)でも普通に人としてクズな部分とかもたくさんあるし、倫理観おかしいところとかもあるので、自分が二人いたら無双というより、世界崩壊します(笑)
そんな私なのに、子どもに100点なんて到底求められないし、子どもの方がマシなことのほうが山ほどあります。
だから、お互いダメなところは話し合いながら、「ここママダメだったね、ごめんね」とか「ここがママつらかったから、ごめんねしてくれたら嬉しい」とか言えるようにしていて。
完璧を求めすぎないっていうのは、元々の自分の価値観の中で結構大きかったので、妥協することにもあんまり抵抗がなかったというか、それがあって当然だろうくらいの感覚でいました。
小さい後悔を選ぶという考え方
――「後悔」についてはどう考えていますか?
後悔するんだったら、小さい後悔がいいか、大きい後悔がいいかって言った時に、小さい方がいいじゃないですか。
だから自分が何か選ぶときは、「どちらの方が少ない後悔で済むか」を基準にしてます。私自身においては、100点満点はないっていつも思っています。
何かを選ぶ時も、「これで完璧」なんてことはない。だからこそ、完璧に近くしようとか、謙虚でもいられるし、努力もできるし、慢心することもない。求めすぎないことで、苦しくならずにすむ。
私の愛読書で人生のバイブルである、梅田みかさん著作の本に、「人生で何番目かに大切なことは、何も望まないこと」ってセリフがあります。
何かを望めば、それが欲しくて欲しくて狂おしくなる。そしてやっと得られたものは、得た瞬間から絶対に失いたいくないものに変わる。激情と苦悩に苦しまずに全てを手に入れるためには、何も望まないことが一番良い方法なのだ。
みたいなことが書いてあって、これが私の心の一番軸に刺さってます。
ちなみに奇遇にも、この本シングルマザーが主人公なんですが、大学生の時の自分にすごく合っていたんですよね。価値観とか考え方とか。他の人に合うかどうかはわからないですけど、私にはすごくハマりました。
自分の人生のバイブルがある人って強いと思います。漫画でも映画でもアニメでも何でもいいんですけど、「このセリフを覚えるくらい大事にしている」っていうものがある人は、ちゃんと芯があるなって感じます。
脱線しましたが、もちろん、100%じゃなきゃダメっていう方もいらっしゃると思うので、これはあくまで私の考え方ですけどね。
人によっては「妥協したくない」っていう気持ちが強いこともあると思いますし、それもその人の大切な価値観だと思います。
言語化する習慣が私を支えてくれた
インタビューを通じて感じたのは、Rさんの「言語化能力」の高さでした。自分の考えをこれほど明確に言葉にできるのは、どんな背景があるのでしょうか。
小学4年生から続く日記の習慣
――お話を聞いていて、言語化がとてもお上手だなと感じました。
ありがとうございます。小学校の時から日記を書いていて、必ずノート半分がびっしり埋まるんですよ、毎日。
小4からそれをやっていて、文章を書くことが好きだから、趣味で小説を書いてみたりもしますし。
私は今月で39歳になるんですけど、大学生くらいの時にアメブロが流行って、ブログブームになり、大学生になってからはmixiが流行り、その後Facebookやインスタが出てきて…みんな文字で自己表現することが普通になってきた中で、私はずっと言語化することが好きだったし、得意だったんですよね。
読むのも好きで、小4の時からOLが主人公の恋愛小説を読んだりしていたり、小中高と全部学校は違いますが、全部の時代で、図書館表彰を受けました。
一番学校の図書館を多く利用して読書した人に贈られる賞でした。雑食で何でも読みました。国内外の名作や実学書類の類も様々、小説のジャンルも雑多に何でも読みました。
タイトルに惹かれたら、それは借りて読んで、よくわからなくても、読み流したしつつ、気になるところはメモったり、調べたりしました。
そういうところで文章力とか、自分の気持ちを表す語彙力がついたのかなって思います。
自分との対話が考え方を育てる
――日記を書くことで、どんな変化がありましたか?
頭の整理もあるんですけど、気持ちの捌け口になっていることの方が多いですね。どんな自分でもさらけ出して、心のデトックスをしてました(笑)。
何か嫌なことがあった時も、書き出すことで「なんでこう感じたんだろう」って考えるようになるし、それが自分なりの考え方を形成していったんじゃないかなって思います。
SNSやコミュニティアプリでの交流も
――今はどんな形で言語化を続けていますか?
Facebookは子どもの成長記録を載せたり、普通に長文を書いたりすることもあります。
あとは、SNSやコミュニティアプリで、悩みがある人の相談に乗って返信したり、いろんな人と交流したりもしています。半年以上前に投げた言葉にまだ返信が来たりして、いろんな人との交流が続いていて。
人との交流の中での言葉の伝え方も勉強になりますし、悩んでいる人や話を聞いてほしい人の役に立てて、自分なりに、「私という一人の人間の存在を必要としてくれている」「誰かの役に立てて嬉しい」っていう、趣味というか生きがいというか(笑)
それはそれで価値があることなのかなって。自分の世界を狭くしないようにしている部分もありますね。
支援プログラムは「頼る」より「使う」
Rさんは転職支援プログラムを活用して転職を成功させました。その経験から、支援を受けることについての考え方をお聞きしました。
「お得じゃん」で始めた軽いノリ
――転職支援プログラムに参加しようと思ったきっかけは何でしたか?
転職活動は自分でやろうと思えばできたんですけど、履歴書とか職務経歴書にそんなに自信があったわけでもなくて。これまでいろんな業界で働いてきた分、職務経歴書を書くのも大変だし、面接の練習をしてくれるところがあるといいなって思っていました。
転職する前で、既に6社目。一番短いと半年で辞めていて、長くても4年近く。キャリアコンサルタントの人に、「ここで職歴積まないと、この先採用かなり厳しいよ」って言われた職場が6社目でした。だから一人で転職活動する不安も結構ありましたね。
それでプログラムを見たら、結構いろいろ無料で盛りだくさんだなって思って。「お得じゃん」って(笑)。
無料でこんなにいろいろやらせてくれて、転職サポートもしてくれちゃうんでしょ、みたいな。その軽いノリで参加を決めました。
4月からの開始で、夏くらいには転職できるようにしたいなっていう自分のスケジュールにも合っていたし、「じゃあやってみよう」って。
—
転職支援プログラムは以下ページをご覧ください。
相談できる存在がいる安心感
――実際に参加してみて、どんなことが役に立ちましたか?
やっぱり、迷った時に相談できる相手がいるっていうのが大きかったですね。
友達とか職場の同僚じゃなくて、転職のプロの方々からアドバイスをもらえるっていうところが、すごく頼りになりました。
「そういう風に考えて決めたらいいんだな」とか「そこは我慢しなくてもいいのかな」とか、専門的な視点からのアドバイスは安心できました。
精神保健福祉士や社会福祉士の資格を活かした専門職を取るか、事務職を取るかで悩んでいた時も、「こういう調べ方をしてみたらどうですか?」「こういう形で比較してみたらどうですか?」ってアドバイスをもらえて、視点や視野が広がったのも良かったです。
可能性を信じてくれる人の存在
――諦めずに続けられた理由は何だと思いますか?
諦めたら多分そこで終わっちゃうから。バスケの言葉じゃないですけど、「諦めたらそこで終わりだよ」みたいな(笑)。
後は、「成功するまで続ける」という名言も心に残ってます。パナソニックの創業者である松下幸之助さんが残したものです。この言葉は、失敗したところで諦めてしまうから失敗になるのであって、成功するまで続ければそれは失敗ではなく成功になる、という考え方を示しています。
3ヶ月ですぐ決まると思ってたのに全然決まらないとか、決まったけどいまいちとか、妥協すればもっと早く決まったかもしれないけど…でも、自分の可能性を諦めないで良かったなって思います。
プログラム担当の方(ペアチルスタッフ)が「こういうところが山田さんのすごいところだから、そういうところを活かせるところが絶対あります」って言ってくれると、「あるかな?」って自分だとわからないけど、「もしかしたらまだあるかもしれないから、ちょっと頑張ってみよう」って思えました。
可能性を信じてくれる人がいると、自分も期待できるし、期待に応えたいなって思える。そういう存在がいることは大きかったですね。
5歳の息子と二人三脚で乗り越えた日々
転職活動中、Rさんは5歳のお子さんとどのように過ごしていたのでしょうか。親子の関係性についてもお聞きしました。
「ちょっと待っててね」のお願い
――プログラム参加中、お子さんとの関係で変化はありましたか?
夜にオンラインでのやり取りがあったり、課題を提出しなきゃいけなかったりして、「今お仕事やらなきゃいけないから、ちょっと待っててくれる?ごめんね」って子どもにお願いすることがありました。
私は今まで家で仕事してなかったから、子どもにとっては「家で仕事してるママ」っていうのがよくわからなくて。ちょっかいかけてきたり、「かまって」って来たり。まだ5歳なので、ちょっと寂しいのもあるのかなって。
でも、「そこは終わってからやるから、この時間だけはごめんね」って説明して、子どもにも理解してもらうように話をしていました。
子どもが協力してくれた面接の日
――オンライン面接の時はどうされていましたか?
「お仕事のテストだから頑張るから、ちょっと静かに待っててね」「TVでYouTubeちっちゃい声で見てていいから、ちょっと待ってて」って説明して、子どもにも協力してもらいました。
仕事していたのに邪魔しちゃったって怒ることもあれば、「お仕事の時に静かにしてくれて本当に助かったよ」って伝えることもあって。協力してくれた時はちゃんと感謝を伝えるようにしています。
まだまだ甘えたい時期のお子さん
――インタビュー中も、お子さんがそばにいらっしゃいましたね。
そうなんです。インタビューの途中でもちょこちょこ出てきたり、私にくっついてきたり。「今、赤ちゃんモードだね」って言っちゃうくらい甘えてくることもあります。
5歳でもまだまだ甘えたい時期なんですよね。離れることもあるんですけど、すぐにくっついてきたりして。
必ず毎日「大好きだよー」「一番大事だよー」「今日もありがとう」って何回も伝えるし、スキンシップもたくさん取ります。寝る前はほぼ毎晩子ども発信で一緒にやっていることがあって、「明日も頑張るぞ!えいえいおー!」と言う掛け声と、オーっと拳を上げることをしています(笑)
親子で一緒に頑張るということ
――お子さんの協力があったからこそ、乗り越えられた部分もあるのですね。
そうですね。子どもにも協力してもらっていたのは確かです。
実は、子どもには仕事とは何か、仕事をすることで2人の生活はどうなるのか、仕事ができないと2人の生活はどうなるのか、を話していました。
「お仕事は、働いてお金をもらうことだから、ママが働いてたくさんお金が稼げたら、スシローもたくさん行けるし、おもちゃも欲しい物我慢しなくていいし、お家もゴキブリが出ないマンションとかに住めたりするよ!でもママがお仕事できないと、お金もらえないから、美味しい物食べたり、お出かけをたくさんしたり、欲しい物も買えなかったりする。どっちの生活がいい?」って聞いたりして。
ママがお仕事することは、子ども自身の生活にもすごく関係があるから、一緒にお金持ちの生活を目指そう!って、一致団結していたのもあります。
もっと年齢が小さい子だったら、そこは楽とは言えないと思いますし、お子さんの特性や状況によっても全然違うと思います。うちの場合は5歳で、説明すればある程度わかってくれる年齢と正確だったので、一緒に頑張れたのかなって。
お子さんの年齢やご家庭の状況によって、できることは本当に違うと思うので、無理のない範囲で工夫していくしかないのかなって思います。
これから転職や就労プログラムへの参加を検討しているひとり親へ伝えたいこと
最後に、これから転職や就労プログラムへの参加を検討している親の方へのメッセージをお聞きしました。
こういう人は就労プログラム向いていないかもしれない
――これから就労プログラムへの参加を考えている人に、アドバイスはありますか?
まず、自立していない人、受け身な人は、このプログラムには向いていないかもしれません。待ってても誰も求人は探してくれないし、待ってても誰も何もしてくれないので。
あと、言い訳しがちな人。「忙しくて」「疲れた」「持病が」とか…みんなあるんです。みんなそれぞれ環境が違う中でやっている。
言い訳していいことなんて一つもないので、言い訳する暇があったら「何とかできないかな」って考えた方がいい。
厳しい言葉に聞こえるかもしれませんが、これはあくまで「このプログラムには向いていないかも」という話であって、その人がダメだという話ではありません。
疲れている時や余裕がない時は、誰でも受け身になりますし、言い訳したくなることもあります。それでもいいんです。弱音も愚痴もたくさん吐きましょう。
大切なのは「常に能動的でいること」ではなくて、最終的には「自分で決めて動く瞬間を少しずつ増やしていくこと」だと思います。
与えられたものは素直にやる
――就労プログラムを活用するコツはありますか?
長い講座も、電車の中でイヤホンして聞いて、よくわからなくてもいいからとりあえず終わりにしようってするとか、わからなかったらもう一回見ればいいんだから。与えられたものは素直にやりましょう、っていう感じですね。
とりあえず形だけでもいいからクリアしてこなす!全然身につかなくてもいいから、とりあえずやって、もし「あれ?これちょっと面白そうかも?」ってなったら、ちゃんと聞くぐらいの、100点でない対応でいいんです。
自分自身がちゃんと目標を持っていて、細かくなくてもいいんですけど、「年内には転職したい」とか「事務職に就けるようなスキルを身につけたい」とか、そういう目標を持っているかどうかで、意気込みとかやる気とか、時間の使い方も変わってくるのかなと思います。
ちょっとでも興味があるなら動いてみて
――逆に、こういう人は参加した方がいい、というのはありますか?
「なんか~かなって思っているけど…」って思ってる人は、多分参加した方がいいです。「なんかいいかも」「なんかどうしようかなって悩むんだよねー」って、ちょっとでも悩んでる人は参加した方がいいと思います。
続けられる・られないかどうかは別として、ちょっとでも興味を持って、ちょっとでもやってみたいなって思って、目標がある人だったら、参加してみるといいと思います。流されましょう!長いものに巻かれましょう!参加もタダですが、辞めるのもタダです(笑)
「やらないで後悔するより、やってみて決める」
――最後に、同じひとり親の方へメッセージをお願いします。
「頼る」んじゃなくて「使う」っていう感覚で参加してもらうといいなって思っています。
「やってくれるんじゃないか」っていう期待を持つんじゃなくて、自分の中で「これができないから何とかしたい」っていう課題があって、それを解決するためにプログラムを使う。
ダメならダメでいいんですけど、やらないで後悔するよりは、やってみて決めた方がいい。
諦めたらそこで終わっちゃうから。自分が諦めなければ、いつまでもなんとかなるから。そう信じて、一歩踏み出してみてほしいなって思います。
まとめ
この記事では、5歳のお子さんを育てながら転職を成功させたRさんのお話を伺いました。
重要なポイントを振り返ります
- 理解ある職場選びの大切さ 転職後も両立の課題は続きますが、面接のリスケジュールに応じてくれたり、忘年会に子ども連れで参加OKだったりと、子育てへの理解がある職場を選ぶことで、安心して働き続けられる土台ができます。
- 「時短」か「フルタイム」かは家庭ごとに違う Rさんは経済的な理由からフルタイムを選びましたが、これは家庭ごとに事情が異なります。大切なのは、自分の状況に合った選択をすること。
- 優先順位の決め方 「やりがい」と「子育て」どちらを優先するかは、頭で考えるだけでなく、実際に動いてみて「体感」することで見えてきます。犠牲を払える範囲を決めておく覚悟も大切です。
- 完璧を求めない生き方 「100点満点はない」という前提に立つと、心が軽くなります。後悔するなら小さい後悔を。子どもとの関係でも、お互い完璧じゃないからこそ、話し合いながら進んでいけます。
- 言語化する習慣の力 小学4年生から日記を書き続けてきたRさん。大学で情報デザインを学んだ経験も含め、自分との対話を重ねることで、自分なりの考え方が形成されていきました。SNSやコミュニティアプリでの交流も、自分の世界を狭くしないための工夫の一つ。
- 支援は「頼る」より「使う」 受け身で待っているのではなく、自分から課題を持って支援を活用する姿勢が、成果につながります。ただし、疲れている時に受け身になるのは誰でも同じ。少しずつ「自分で決めて動く瞬間」を増やしていくことが大切。
- 子どもとの二人三脚 5歳のお子さんと一緒に乗り越えた転職活動。まだまだ甘えたい時期のお子さんに「ちょっと待っててね」とお願いしながら、協力してもらえた時には感謝を伝える。お子さんの年齢や状況によってできることは違うので、無理のない範囲で工夫を。
今日からできること
- 自分が転職で「絶対に譲れないこと」を一つ書き出してみる
- 「犠牲にしてもいいこと」の範囲を考えてみる
- 今日あったことを3行でいいから書き出してみる(言語化の習慣)
- 興味のある支援プログラムや情報を一つ調べてみる
Rさんは「夢は盛りだくさん」と語ってくれました。今の職場でキャリアアップしていく道、いずれ独立や起業に近い形で自分の事業を持つ道…子どもの成長とともに、選択肢は広がっていきます。
転職活動は孤独で不安なものですが、同じ道を歩む仲間がいること、相談できる存在がいることで、一歩を踏み出す勇気が湧いてきます。
ペアチルは、ひとり親家庭の親子が絶対的幸福になれる社会の実現を目指しています。同じ境遇の仲間とつながりたい方、情報を共有したい方は、ぜひペアチルコミュニティをのぞいてみてください。
あなたは一人じゃありません。
編集後
Rさんへのインタビューを通じて、「言葉の力」を改めて感じました。小学4年生から日記を書き続けてきたというRさんは、自分の経験や感情を驚くほど明確に言語化されていて、聞いているこちらも頷くことばかりでした。
インタビュー中、5歳のお子さんがRさんのそばにやってきて、甘えている姿が印象的でした。「今、赤ちゃんモードだね」と笑いながら対応するRさんの姿に、日々の親子の関係性が垣間見えた気がします。
特に心に残ったのは、「何かを得ると何かを失う」という言葉。当たり前のことのようで、実際にその覚悟を持って決断するのは簡単ではありません。でも、Rさんはそれを「あって当然」と受け止めていて、だからこそ前に進めているのだと感じました。
「時短を選ばない」という選択についてのお話も印象的でした。Rさんは「私の家庭にはない選択肢」とおっしゃっていましたが、同時に「家庭ごとに事情が違う」とも。どちらが良い・悪いではなく、自分の状況に合った選択を。その姿勢が、多くのひとり親の方の参考になるのではないでしょうか。
Rさんは大学で情報学を学び、製薬会社のMRからキャリアをスタートし、その後、精神保健福祉士・社会福祉士の国家資格を取得。医療・福祉・教育と幅広い分野で経験を積んでこられました。そのキャリアの多様さもまた、「一つの正解はない」というメッセージを体現しているように感じます。
「やらないで後悔するより、やってみて決める」
この言葉が、同じように悩んでいるひとり親の方の背中を押すきっかけになれば嬉しいです。
(取材・文:一般社団法人ペアチル代表理事 南 翔伍)
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